ことぶき猫玉日記

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zoom RSS 約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』B

<<   作成日時 : 2014/01/15 22:24   >>

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読みながら書くと、勘違いや思い込みもあるが、
一番作品を感じながら書いている文章でもある。
Twitterはその時に感じてたことを即書けるので
『黄金を〜』を読み始めて垂れ流したものを拾ってみる。
読み始めに受けた全体の印象から…
(読み返して付け加えたくなったものは記入。
 Twitterのフォロワーさんはすでに私のつぶやきで
 見ている下りに加えてなんか書いている、と言う
 感じになると思います)

読み始めた時の、全体像に対する第一印象は、
単独で縄張りを持って生息している雄の野生の獣が、
平常時は縄張りの距離感を絶妙に測って接触を
避ける獣が、単独では仕留めるのが難しい
大型の獲物を仕留めるのに、目合わせだけで
示し合せ、無言で獲物に襲い掛かる様
が浮かんだ。

ここに出てくる男たちは、性的リビドーを犯罪行為に
すり替えて興奮する変態ばかりじゃないのか…
変態と言う言い回しは誤解を招くかもしれないが、
行う行為そのものが変態性に満ちていると言う訳では
なくて、性的興奮を得る手段、頭の中で発動する
妄想を生むきっかけになる事象が変態ちっくと言うか、
なんつー業の深いエロさだろうか。
曲がりくねって自分自身も元がなんだったのか
解らんようになった不器用な男たちに見える。
変態性が一周回って一見まともに見える、みたいな。
性的な興奮と、犯罪行為を企む事で湧きおこる
高揚感とがごっちゃになって、海綿体に血流が集まり
隆起してるのに放出する目的が分からなくなったものを
自分の内側に逆流させてるような…
その高揚と興奮は似て非なるモノではなくて、
源は同じ所から出てるって気付いてるのは誰だろうか。
20年ぐらい前に読んだ時は、こう言うリビドーを読み取りながらも
自分の中に咀嚼する度量がなかった気がする。
ここに出てくる男どもはなんかいかがわしい、くらいしか
判ってなかった気がする。

お札ではなくて、金塊を奪おうと考えるのも、わざわざ困難な
方を選んでいるように見えるので、お金が欲しい訳じゃなく
こう言う事を計画し実行し、やり遂げたいと思うのは、
ある種の「スリル中毒者」の様にも見える。
(人それぞれに「エクスタシー」があって、その種類は
 様々であるらしく、それで言うと、困難な事をクリアして
 やり遂げる事にエクスタシーを感じる人間ばかり、とも
 思えなくもない。計画を立ててそれが実行され、計画通りに
 運ぶ事をエクスタシーとしているかもしれない)
そう言う類の人間ばかりよくも集まったもんです…
こう言う事は女性は絶対にしない。
女性は特に金勘定になると、現実味のないものには
興味がわかない。
金塊を運ぶと言う重労働、金塊を捌く手間を瞬時に考え、
こっちの計画は選ばないだろう。

男たちそれぞれが目指す目標と言うか、最終着地点は
それぞれの人間の中で微妙に違っていると思うが、
全員が全員、金塊の金額的な価値に目がくらんだ訳ではなく、
自分たちにしかできない計画を遂行し、成功させてみせる、
と言う方が圧倒的に比重が高いんじゃなかろうか。
こう言う部分も非常に男性的である。
だから当時、暫くの間、村薫と言う作家は男性だと
思い込んでいたんだろう。
なにをきっかけに女性作家と知ったのか、記憶がなくて
覚えてないのだが…
裏を返せば、こう言う、男性特有の金よりプライド的な部分を
女性が正確に描ける筈がない、と思っていたのかもしれない。
そう言う風に書こうとしても、どこかに女性の慈愛が
見えてしまうと言うか…男のどうしようもない部分を
「それが可愛い部分である」的な手加減と言うのが
覗いたりして、作者が自分の私情を入れてはいかんだろ、
と思う事が多く、故意に女性作家作品を読まなくなって
しまったんだけども(現在もBL以外は殆ど読まない)。

前日のブログに『太陽を曳く馬』が読み切れなかったと
書いたが、数年のブランクがあったと言う事に加え、
20代の頃に読んでいた自分の中の村薫と言う
作家さんに対する「硬質」のイメージを違って見えて、
読み進むのに困難だったのだが、これは全て私の
思い込みによるかもしれない。
『黄金を〜』を読み返して、やはり自分に知識のない
部分を緻密に書かれてもその凄さが解らなくて辛い、
と言うのは同じで、それは村作品に共通して
含有される宗教色も、私にとっては同じだったりする。

生まれてこの方、宗教とは全く無縁の生活しか
してこなかった為に、自分の中にはまず宗教観が
ほぼ無いと言っていいかもしれない。
第六感を意識してみたり、縁起やジンクスに捉われたり
した事くらいはあるが、根本は根っからの現実主義で、
霊感もない。
自分が辛い時に「神に祈る」と言う事さえしない。
辛さをもたらした人間や自分を罵る方が普通だ。
逆に、今まで生きてきた中で見てきた人の中の、
宗教と言うものを信じている人に対しての印象が
良くない経験をする事が何度かあったので、
自分が解ってない、と言う事も含めて、あまり
近寄りたくない、と言うものでもあったりする。
これは至極個人的な事だが、宗教色を感じると
拒否反応を示してしまう、と言う条件反射が
擦り込みまれている、と言う事実は消せないので
書いておく。
なんで、村薫作品のその部分に感銘を受ける
人がいる対極に、私の様な読者もいる、と思う。

しかし、宗教観がなかろうと、専門知識がなかろうと
読めるのが娯楽としての小説と言うものでもある、
とも思う。
理解してないから読んではいけないはずもないし、
読んで理解しなければならない義務もない。
なので、私は下世話に自分の感じた様に書く。

北川はSかな、野田はどちら側にも転がれる器用タイプ、
モモは隠れSな気がする、春樹はこれからどうなるかだが
Mを前にすると優しいSになりSを前にすると自暴自棄的な
Mの演出をする気がする、ジイちゃんはSだろうが
だったとしてももう超越しただろうな…
幸田はドM。

昔に読んだ某雑誌の村薫特集号を読んだが、
モモは生きて動いている描写の間も
「ここにはいない人」と言う印象が強い。
これは創造主である作者がモモの死を意識して
故意にそう言う風に描いているのか、それとも
無意識ににじみ出たものなのか、
この辺が非常に
気になったりもする。
村薫と言う作家さんなら前者だと思うが、
再読とはいえ昔読んだ記憶をすっぽり失くしている
私にとって、先に待つものへの不安を煽る効果として
絶大な効果をもたらすさじ加減で書かれていた。
反面幸田は「ここからいなくなりたい」と思っていても
そこにちゃんと在ってしまう自分とのジレンマに
じりじりしてる感じがある。
そのじりじりしたモノの発散すると言う意識もなく、
幸田は自分の身体を使わせて(若い子が気持ち良くなれば
それでいいよー)って感じで、自分の肉体的な快楽よりも
そう言う肉体を持っている自分、提供できる自分、で、
快楽を得ている気がしたよ。

幸田はやっぱり肉体と精神が離反してるんだろうなぁ、
村先生の書き方もあるが、走行中の電車から
飛び降りるのに恐怖心とか躊躇とか考えないんだろうなぁ、
その行動を行う必要がある、としか思ってない感じ。

父親を求めて得られなかった喪失感と言うものが
幸田の根っこにあって、父親の不在が幸田と言う人間の
アイデンティティーを構築する際に、彼に細々と
流れて行くだけの水流の様な正体のなさ、そこに血肉を
伴って人間臭く生きている「垢」みたいなものから
隔離されてしまったんだろうな、と言う感じがする。
本当にあの人は生きていたんだろうか
と言う心もとなさと言うか。
自分の生に対する意識や執着がなければ、他者にも
そう言う風に見えてしまうもんなんじゃないか。
(それは幸田から見たモモでもある)
血肉をまとい垢をも振りまいて生きているのが北川。
だから北川は自分とはまるで違う空気をまとっている
幸田に惹かれてやまないんだろうと言う気がする。

北川は幸田の為に、この前代未聞の金塊強奪計画を
立てたのではあるまいか。
内面にぶすぶすと不完全燃焼するものを抱え、
それを他者には分け与えない幸田に、何かしら
衝撃を与える事で、自分の存在や周囲との
繋がりを必然的にそうせざるを得ない状態を作り、
引っぱり出したかったんじゃあるまいか、現に。

恐らく幸田は、自分の肉体の感覚に対して確信を
持って生きていない人間なんじゃないだろうか。
だからこそ、他者の熱を感じた時にようやく、
自分の肉体の実感が少しは得られるのではないか

と言う気がした。
北川、春樹と情動を寄せられ、春樹の若い肉体を
受け止めている描写があったが、ひょっとしたら
自己確認の手段でしかなく、それが解っている北川は
幸田とは肉体接触をしなかった気がする。
10年来傍にいて強烈に惹かれているけど、その部分
越えてない気がする…

読んでいると当時自分が徹夜で本を読んでいた時の
事とかを思い出したが、野田を見ていて、似た人物を
過去に見ている…でやっと思い出した。
野田って、森脇真末味『踊るリッツの夜』の
仲尾に似てんだよ!!
寡黙なバーテンの金子にチョッカイばっかかけてる
チャラい大学生の子!!
    (続く…

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