サブカル全般品に施行される「リサイクル法」って出来ないかな…

ネット通販ばかりじゃなく、たまには本屋に行って 店頭で何かを見つける、と言う事もしなければ 情報が偏ってしまうな、といつも本屋の店頭で見て 「気になって」やっぱり「買う!」となる作品に出合うと 心底思う。 思うのだが「即買い」を回避するようになったのは やっぱ読んで予想外だった場合に「売れない」と言う 縛りが顕著だからだろうなぁ。 売れない、のではなく「一回しか読んでなくて新品に 近いものでも買い取り価格10円かよ!!」と何回か 経験すると「売れないものは買いたくない」と言う 買い控えが起こるのは、消費者の本音としては 当然の事だろう。 食料品は生きていく上で必要不可欠だから仕方ないが いわゆる嗜好品に関しては「煽られない」精神力が 身に着けばかなり節約意識が見に着くもんだ(笑) 本が売れない、CDが売れない=違法ダウンロードが 横行しているから、とよく耳にするが、リアルな現実として 数値化され実証されているのなら信じるが、単純に 購買層である自身の立場から言うと、汗水たらして 働いたお金で購入したものが面白くなかった時の 「損失」を誰が補てんしてくれるんだ、と言う事に尽きると思う。 15年以上前だったら、CDも漫画も中古店に売れば それなりの価格で買い取って貰えたので、買って 外れでも売ればいいや…

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魅力的な主人公を配する北欧系警察小説『特捜部Q-織の中の女-』②

アメリカの海外ドラマやハリウッドの刑事物を 見過ぎていると、設定はよくある「トラウマを追いつつも 刑事としての職務を全うしようと一人果敢に闘う男」と言う ハードボイルドテイストの一匹狼風主人公がすぐに 思い浮かぶのだが、そんな彼らとカールは明らかに 違っている。 自分はおかしい訳じゃないから心理療法は受けたくない、 と言いつつ、心の傷を自覚してそっと医師の元を訪れる 訳ではなく、単に担当医師がすこぶるそそられる好みの 女性だったので、なんとかお近づきになれんものか、と言う カールの動機は「自分の心への忠実さ」とは程遠い(笑) かと言って無類の女好きで誰彼構わず口説くでもなく、 単に「女性」は恋愛関係を結ぶ相手として常に素直な 興味を持っている普通の男性で、女性に手が早いのが 男を上げる一端である、と言う女好きとは一線を引いている。 好みの女性にはなんとか近づきになりたいと思っているが 苦手な女性にはなるべく関わらないようにしたい、 と言う具合に女ならとりあえず声をかけると言う「タラシ」とは 明らかに違っている、が女性が好きな事は間違いない(笑) アメリカのドラマに顕著に見られるのが「自分の弱さを 自覚する事が強さである」と主張する場面が「心を 揺さぶられる場面」「トラウマを克服する瞬間」として 描かれている場合だ。 誰かに諭されたり、乗り越えた人の姿を見て決心したり、 そこへの導入には「自分一人の決断」と言うよりは その人間の事を案じる誰かの導…

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魅力的な主人公を配する北欧系警察小説『特捜部Q-織の中の女-』①

北欧ミステリにハマっている… 前々から気になっていて、フォロワーさんからアーナルデュル・ インドリダソン『湿地』『緑衣の女』を譲って貰って読んでから、 欧米文学と同じように「海外文学」には違いないのだが、 独特の風景が醸し出す「陰鬱さ」「硬質さ」と言うものに 惹かれる様になった。 日本の歴史も把握してないような歴史音痴なので 北欧の背景や土地勘など全くないにも関わらず、 (北ヨーロッパと言う事は比較的寒い地方、  と言う幼稚な印象しか持ち得てない、恥ずかしながら) 殺人事件と言う、人が人を殺す怖さをシステマティックに 処理するのではなく、事件を解決に当たる職業人側が 「事件を解決する仕事」に真摯に取り組んでいる 真面目さは、日本人の真面目さに通じるものを感じるな、 と言う印象が残っていた。 自分にはこの仕事しかないんだ、天職なんだ、と言う 情熱を熱心さの目安にするのではなく、殆どの庶民が したい事であろうとなかろうと生きて行く為の収入を得る為に 仕事である限りはきちんとやるのが当たり前、と思って 律儀に仕事をしている感じ、と言うか。 加え人が持つ業の深さを殊更感情に任せて煽るのではない 描き方が特徴なのかな、くらいな認識でしかないが、 明らかにヤンキー文学とは違って、その土地に住む 人の行いは「地に根ざして」いて、全ての行いは 個人主義が生む個人主義が日本より色濃いながらも 根っこの所で土壌が生む歴史の積み重ねから 離れてはいられないんだな、と言…

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匂い系の純文学から~好奇心が無限ループする。

「匂い系」と言う言葉には二つの意味があるかもしれない。 BLっぽいと言う匂いがする、と言う意味と、結論を出さず 匂わせて終わる、と言う意味と。 「匂い系」と言われている純文学系をぼちぼち読んでいるが、 何故そうするのか、と言う事まで言及することなく、 刹那的に終わっているものが多い。 葉山嘉樹の『死屍を食う男』を読んだが、その題名通り 屍を食らう深谷と言う同級生の話なんだが、目撃者である 安岡がその様を見る恐怖だけで物語は終わる。 寄宿舎で同室の同級生の深谷が夜な夜な安岡が 寝ているか、寝息を伺っている不気味さ、 夜中に部屋を抜け出していった深谷の後を尾けたら 先日湖で溺死した同級生の死体を掘り起こし、 腕を切り取って食っていた、それを見てしまった安岡は なんとか部屋に辿り着いたが、翌日深谷に 「何か見たか」と問われてしまい、恐怖のあまり 病名不明な病にかかり、修学旅行にも行かずに 実家で療養中に死んでしまった、と言う所で 終わる物語である。 現代文学ではこうはいくまい。 何故、深谷は溺死した同級生の遺体を掘り起こし、 腕を切り取ってそれを食ったのか。 溺死した同級生との関係性も、安岡が憶測をする部分に 同性愛的な関係だったのか、と言う言及がされているが、 結論から言うと、何も読者には解明されない。 真実が解明されないこその不気味さを表した作品だが、 広げた風呂敷を一つも畳んでいないぞ、と 取れない事もない。 何故そう言う事を行うのか、と…

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『黄金を抱いて翔べ』余談の余談②。

幸田と言う人間が、精神と肉体が離反していると 感じたのも、この書き方があるからだ。 心情風景もぼんやりと確定的でないのは、 幸田にとって肉体が受ける衝撃が精神に届くのに ブランクがあり、また、そのまま受け取る事が 難しいからだ、と言う風に感じたからだった。 自分の中でこう言う解釈で読んでいるので、 いかがわしい事は解るのだが、明確に書いてないと 言う事は「なかった」事として読んでしまうんだよなぁ。 教えて貰った、北川のモモに対する暴行の場面も、 モモの口を割らせようと殴る蹴るしているだけ、と 思ってたからなぁ。 むしろ北川は、計画に必要と言うお題目がありながら、 殴る蹴る行為を行う自分に興奮する変態、と言う風に 捉えていたからなあ。 変態と言うより性癖か。 それを幸田に気付かれても平気、と言う図太さが この男にはあるんだ、と言う怖さと言うか。 「勃起」と明記されていたが、私は暴力により 興奮を得る描写だと思っており、そう言う北川の 性的な傾向が非常に理解できる、と思ったからだ。 SかMかで人の特徴を判断し、占いの様に話題にする ネタにしていると思うが、精神と肉体の部分などと 掘り下げたら際限がないので割愛するが、私が 人とそう言う話になった時に 「ほっぺたひっぱたいて」って相手に要求されて 容赦なく叩けるか、叩かないか、叩けないか、 と言う事を聴いたりする。 まあ、聴く相手と自分との関係にもよるので、 やたらめったら聴いたりはしないんだ…

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『黄金を抱いて翔べ』余談の余談①。

やっぱ私はこの作家に合わんのかもしれんなぁ。 読んでいる時に、その文字列を理解しようと 頭を使っている感覚、と言うか、文字通り言葉の意味を 理解しようとして、漢字の意味とかそこに書かれている 意味とか、理解しないと先に進めない感覚があって、 字面をなぞる時に一々頭に引っかかると言うか。 それは、専門的に知識がないと理解できない言葉が 連なっているだけなのかもしれないが、自分の中にある 読書に対する自分のスピードで読めない、と言うのは 再読中も何度も感じた事で、ある種のストレスでもある。 それが単に、私にそこに書かれている言葉に対する 専門知識がなく、文章になっても「知らないこと」が 説明してある文字列、として捕えてしまうからなのか、 単純に作者の作風が自分に合ってないのか… この辺りが未だ判ってないのだが、多分苦手な作風なんだな、 と言うのは、読後の感想をTwitter上に垂れ流した時に 他のフォロワーさんのツイートを読んで如実に 実感した事だった。 そう言うストレスがありながらも読み切ってしまうのは、 作家力ではなくて、純粋に物語力だと思う。 何も考えずにすらすら読めてしまうのは、内容が 平易で希薄だから、と言う考え方もある。 これだけ読んでいる時に引っかかっているという事は その時に読者である自分が「理解しよう」と頭を 使っている証拠でもあるかもしれない。 また、こ難しい事が書いてあったとしても、自分が 教科書に書いてある勉強は「しなさい…

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約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』⑤

読み終わって気付いたのが、自分が幸田に感情移入をして 読んでいた、って事だ。 モモの死がこんなに悲しくて、一度そこで読むのを 止めてしまったのは、幸田はそこで立ち止まれないくらい モモが如何に自分にとって大切な存在だったかを この時点で本当には自覚してないんだな、と思ったからだ。 明らかに計画に支障を来しそうな、自分とモモが撃たれた 事実を、他の仲間になぜ話さなかったのか。 死なないと思っていたのか。 自分たちの都合で計画がおしゃかになるのを一番に 恐れたからだろうか。 仲間に話していたとしても、怪我の治療など望めなかった からだろうか。 合理的に考えると、ここに矛盾が生じるのだが、 この矛盾は幸田のモモに対する感情が言葉や文字で 明確にしていなかったこれまでの流れとなんら違わない。 幸田は、二人きりで教会に行きたかっただけじゃないか。 自分が死ぬかもしれないし、モモが死ぬかもしれないとしても、 どうしてもあの、二人の時間を持ちたかったからじゃないか。 幸田が自覚していないとしても。 撃たれた事実は消えないと言う所で計画に一番支障の 起こらない方を合理的に判断し、そんな合理的な判断を した後に、幸田はモモと一緒にいると言う、感情的な方を 選んでいる。 感情を排したように計画された強奪計画と対極にある様に 人間のどうしようもない業が描かれていて、今さらだが 髙村薫を読み解く方法が少し解った気がする。 髙村薫が読みにくいと思うのは、理性的な文体…

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『黄金を抱いて翔べ』余談。

実写で映画が作られているんだから、登場人物に 肉声を付けてもいいんじゃないか、と言う気がしたので いつもBLを読んでいる癖でCVを考えてしまうんだが、 幸田…難しいよなぁ、難しいんだけど、 こう言う難しい人物、人によったら得体の知れない内面が 読み取り難い人物はみきしんで聴きたいんよ… 「モモさん」って呼ぶ声が耳の中で木霊する。 みきしんはちゃんとおっさんの声も出るが、 基本この人には年齢設定関係ない。 若かろうがおっさんだろうが、みきしんがやると その人の声になってしまうからなぁ。 北川のCVもずっと考えているんだが、あまりお声を 聴いたことがないので、聴いた作品の印象だけしかないけど、 『YEBISUセレブリティーズ5』の土田大さん!! 野性的・豪傑イコール重低音ではなくて、話す節回しや 言葉遣いだけで根拠はないが頼れそう、包容力を 感じる、と言う声の人がいい。 私は自他ともに認めるあんげん好きだが、低音っぽい キャラはみんな彼で聴きたい、と思っている訳じゃない(笑) 怒号が唸るような感じはあんげんのあの音圧で 聴いてみたいと思うが、北川はあんげんの声より なりふり構わず大雑把な感じがありつつ、「父性愛」の 不器用さが勝る方を優先したい感じがする。 あんげんの包容力は「NO.2的」もしくは、義理の肉親的、 とでも言うのか、決まった立ち位置で最大限の包容力を 出す感じが勝る気がする(現時点で)。 あんげんの低音は理知的で、よく役を振られてい…

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約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』④

日曜の夜、まあ寝る時間は月曜日なんだが、 一番爆睡できる日なので、これは最後まで読んでしまうと 寝れなくなるな、と言うので寸止めしたんだが… 涙が止まらなかったよ…モモ… マークスの水沢の時も号泣したけどさぁ… モモの笑い方の描写が既に予定調和だったけどさぁ… 男たちが金塊強奪する話、と言う大筋しか覚えてなくて、 モモの笑みを見て「ちょっと胸を打たれるものがあった」って 描写を読んだ時に予感がしてきて、なんとなく思い出してきて、 ああー、なのでその下りがくる直前で読むスピードが ぐずぐずになっていったんだけども。 あの笑い方は、途轍もない喜びではなく、些細な、 本当に誰の日常にも適当に転がっていそうな位のレベルの 「楽しいな」くらいの喜びでもモモにはとても幸せなんだな、 ってあの感じが出ていて、ああー、この子幸せになんないかな、 と思いながら読んでたんだよ… しかしある意味、至福ではあったんだろう。 その後の幸田の行動描写がさぁ…また泣ける。 現実として身が切れる思いを味わうのは仕事が終わった後だ、 的な… どうにかしてモモが生きる道はなかったのか、 と思ってしまうから切なくて泣けてくる。 物語は覆らないし、現実の人間の死と同じく、 モモの死に奇跡は起こらないのも知っているが、 死んでほしくないと思うのは、魅力的な登場人物に 対する読者の感傷以外のなにものでもないかもしれない。 モモの死に、死んで解放されたよ、と言う気持ちが 起きな…

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約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』③

読みながら書くと、勘違いや思い込みもあるが、 一番作品を感じながら書いている文章でもある。 Twitterはその時に感じてたことを即書けるので 『黄金を~』を読み始めて垂れ流したものを拾ってみる。 読み始めに受けた全体の印象から… (読み返して付け加えたくなったものは記入。  Twitterのフォロワーさんはすでに私のつぶやきで  見ている下りに加えてなんか書いている、と言う  感じになると思います) 読み始めた時の、全体像に対する第一印象は、 単独で縄張りを持って生息している雄の野生の獣が、 平常時は縄張りの距離感を絶妙に測って接触を 避ける獣が、単独では仕留めるのが難しい 大型の獲物を仕留めるのに、目合わせだけで 示し合せ、無言で獲物に襲い掛かる様が浮かんだ。 ここに出てくる男たちは、性的リビドーを犯罪行為に すり替えて興奮する変態ばかりじゃないのか… 変態と言う言い回しは誤解を招くかもしれないが、 行う行為そのものが変態性に満ちていると言う訳では なくて、性的興奮を得る手段、頭の中で発動する 妄想を生むきっかけになる事象が変態ちっくと言うか、 なんつー業の深いエロさだろうか。 曲がりくねって自分自身も元がなんだったのか 解らんようになった不器用な男たちに見える。 変態性が一周回って一見まともに見える、みたいな。 性的な興奮と、犯罪行為を企む事で湧きおこる 高揚感とがごっちゃになって、海綿体に血流が集まり 隆起してるのに放出する目的…

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約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』②

作品と作家さんを分離して考える方なので、 作品が面白い=作家さん自身に興味が湧く、 事はほとんどと言っていいほどにない。 カバー裏に書かれているくらいの事は読むが、 それ以上知らなくても平気だ。 作品=作者として書かれているものもあれば、 作品と作者が全く結びつかずに書かれているものも あるし、作品を生み出した作者に敬意は払うが、 良い作品を生み出している人が自分の好きな人間か、 と言うと、それもイコールではないだろう。 下手に作家の知識を入れて、作品を客観的に 見れなくなるより、私は作者を知らないままに しておきたい。 作品として世に出されたものは「作品」として 享受したいと言う気持ちの方が大きい。 作者を知って作品に幻滅したくない。 私は一度、完全に髙村薫作品から心が離れている。 数年前に、書店の本棚に『太陽を曳く馬』の ハードカバーが並んでいて、合田雄一郎作品、 と言う事でとりあえず上巻を買って読み始めたのだが、 20数年前に傾倒していた髙村作品の印象とは まるで違っており、緻密に書かれる事と、 一つの物事を粘っこく書くのとでは理解の仕方が 違うな、と思ってしまった。 こんな作風の作家だっただろうか、なんでこんなに 読み進みにくいんだ…と言う気持ちが湧いてしまい、 結局、上巻も読み終える事が出来ず、下巻は 未だ購入してない。 私が抱いていた髙村作品に対する「硬質さ」は こう言う感じだっただろうか、自分の勘違いか、 もしくは理解の…

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約20年ぶりの再読『黄金を抱いて翔べ』①

正直に白状してしまうと、私が髙村薫作品に傾倒して いたのは20年以上前で、初めての髙村作品は 『マークスの山』であり、その頃諸事情あり、 犯罪もののフィクションを貪るように読んでいた私には フィクションは「ぬるかった」のだ、そんな中、 新聞の新刊案内で「本格的警察小説」と言う謳い文句が 目に付いて(その頃は新聞も読んでいた、今は一切 読まなくなった)警察小説は推理小説のジャンルの 一つじゃないんか…ととても気になり、いわゆる 「ピンときた」と言う勘が働いているのだと信じて、 本屋で手に取り、即行購入。 一気に読み耽った。 最初、作者の予備知識など全くなかったので、 髙村薫と言う作家は男性だと思い込んでいた。 警察と言う組織の細部の緻密さ、そこへこれだけ 労力を割き、客観性を持って書けるのは男性だ、 と思いこんでしまったのだ。 どこかで、女性作家は「私小説」こそ本領発揮できる、 と言う風に思い込んでた若い自分の勘違いもある。 とにかく、読んで圧倒されて、その頃は自分でも 創作を趣味として続けていた訳だが、文字通り 「こんな作家さんがいるのであれば、自分が書く 必要はない」と打ちのめされた。 言葉を変えると、こんな凄いものは何年経っても 自分には書けそうにないので、自分は作家には 絶対になれないだろうな、と言う事だ。 それまでも、凄い本を読んだ後は衝撃を受けて 来ている訳だが、これまでは「こんな作品が書ける 作家になりたい」と言う方向に働き、…

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仏の悪漢映画を観ているような『ダイナー』②。

フランスの、犯罪映画を観ている様な 無国籍感、殺し屋たちのキャラじゃない 個性、一作の起承転結、全てがいい。 映像を見ている様なテンポの良さだったが、 不思議と、実写で見たいとは思わなかった。 実写で、あの個性あふれる面々を俳優に 演じさせると「やり過ぎ感」が勝ち、 原作の中に描かれる彼らの魅力は 半減してしまうんじゃないか、と言う 気がしてならない。 実写よりも、作画のしっかりした アニメで見たい。 プロの声優さんオンリーのアフレコで。 ボンベロを含め殺し屋たちは殺す、 と言う行動に関しては自由なのだが 「殺し屋である」と言う事に実は 縛られている。 一方カナコは、囚われの身で、自身の 命の保証は全くされてないが、 殺さないと言う行動の中では全くの 自由で、殺し屋の命に対しても 「失われる命」と言う認識が出来る… 組織の中で組織の掟に縛られている 殺し屋たちの不自由さ。 こんな場所に連れて来られて常に 命が失われるかもしれない状態で 働いているカナコの拘束状態。 殺し屋たちは気ままに殺しまわって いるんだろうか。 殺人衝動に任せて、自分だけの 楽しみを優先して殺しているだけ、 なんだろうか、と思えてくる。 殺すスキルを持っている殺し屋の 方が圧倒的に有利な筈なのに、 いつの間にか彼らがそんなに 強者ではない、と言う事に読者が 気付いて行く。 ボンベロに続き、彼の相棒の犬の 菊千代、顔から身体から裂け目の 様…

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仏の悪漢映画を観ているような『ダイナー』①。

BLCDの濡れ場の補完、などと言う 邪な動機でBL小説を読んでも長く 続く訳がない…やっぱり私は一般小説の 方が好きなのである。 BLと言うジャンルである限り、それは 恋愛小説であり、恋愛小説ほど 読まない本読みなんだから、実際問題 読まないのは筋が通っている訳だ。 自分に無理をするのは止めて、やっぱり 面白そうな一般小説を読むとする。 とは言え、最近、ダ・ヴィンチも買わなく なって、本の情報を得る所がない。 雑誌は紙の束になって部屋の収納を 圧迫するので、今まで様々な雑誌から 切り抜いていた切り抜きを一気に 処分している最中で、その中に平山夢明の 『ダイナー』が載っていた。 粗筋を読んで、今丁度こう言うのが 読みたかったじゃないか…ですぐに Amazonで購入した。 主人公のオオバカナコは(大馬鹿な子) 全てにおいて平均ちょい以下くらいの モブ的な存在の女で、ヤバ過ぎるのは いやだが、ちょっと簡単に副収入が 得られそう、と闇サイトの求人に応募 したのが運の尽き、日常とはかけ離れた とんでもない世界に引きずりこまれる。 恐怖と、暴力と、死しかないような 世界なのに、そこに属する彼らはどこか 飄飄としており、血生臭い手をして いながら、どこかお伽話の住人の様… なのにキャラに留まっていない。 自分の墓穴を掘らされていた時に、 カナコは起死回生の取引を申し出る。 傍で聞いていればつまらないジョークの 様な言い分なんだが、…

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制約の中で書かれるBL小説の熟練度に気付かされる『ジェントルマン』。

人気作家ほど読まない、と言うのは昔からで、 特に話題性の高い作家には触手が動かず、 『ぼくは勉強ができない』が物凄く話題に 上っていた時に、本屋で手に取って冒頭を チラ読みした時から、山田詠美は自分には 合わないな、と思った時から読んだ事のない 作家さんの一人。 村上春樹も読んだ事がない。 赤川次郎も読んだ事がない。 人気作家さんを何故読まないか、それは 人気があると言うこと=大衆受けがいい、 と言う事で、大衆から浮いている自分を 感じている人間が読みたい訳がない、 と言うのが昔からの持論。 TwitterのTLで見かけて、書評などを読んで、 読んでみようかなー、と言う気持ちになって 読んでみた、初読みである『ジェントルマン』。 読み始めてからずっと、ラストがこうなれば いいのに…と言うか、こうならなければ 許さない気持ちだけが残る読後に なるんではなかろうか、と思いながら 最後まで読んでしまった気がする。 ある意味で、小説と言う虚構の世界に どっぷり浸ることなく読み終えてしまった、 と言う感覚。 読みつつ、冷静に現実に照らし合わせる 自分がいた気がする。 話の主軸に同性愛と言うものがあるので、 同じ「同性を愛する」と言うものを描いている BLと比べてしまうのは仕方ない。 読み始めて中盤まで、同じように同性愛を 描いているのであれば、BLの方が心理 描写に長けている、と思えてしょがなかった。 一般書で書かれているので、モラル…

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プロットは同じでも書き方で別物になるんだろうな…『屍者の帝国』①。

『虐殺器官』を読んだ時、物語の面白さも 勿論だが、私が一番面白いと感じたのは 文体だった。 まるで海外文学の翻訳の様に、至極 客観的で作者の感情が透けて見えない 文体だった。 作風と言い替えられるかもしれない。 (日本人は良くも悪くも「情感」を美徳と 捉える傾向が強いので、登場人物の感情を はっきりと文字にする事はないが、読者に 伝えようとする意識が高い気がする) 読み終えた時にすでに作者が若くして 亡くなっていると知って、心の底から もう同じ文体の小説が読めないのか…と 切ない気持になった。 作者も、自分の死を悲しまれるよりも、 新作を望む読者に読んで貰えない、 と言う事の方が心残りだったんじゃ なかろうか、と思った。 プロローグのみが伊藤計劃の作、と言うこと 聞いて、読むのを躊躇っていたところへ 本を譲って頂ける事になったので、 早速読んだ。 死者(作中では屍者と表記されている)に 電気的な信号を送ることで、死体に「職務」を 上書きし、労働力や戦闘力として人間の 代わりを務めさせる、と言う設定。 人は死ぬと21g重量が減り、それが魂の 重さであると言われている。 魂が抜け出て無になったっ物質としての 死体に、プログラムをインプットして、 機械の様に動かすと言う訳だ。 書き込まれた作業しかこなせないので、 至極従順、おまけに人間と違って心が ないので、感情に乱されないし、 疲労する事もない。 死体を「資源」として死後も活…

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作家の文章力に圧倒された『虐殺器官』。

タイトルのおどろおどろしさと言うか、冷たく冷淡に突き放す 感じがして、恐ろしさとか驚きとかで最初に脅される様な 題名は、「見たいけど怖い」とか「そうは問屋が卸さんぞ」 と言うような勝手な気構えが出来てしまって、惹かれて しょうがないのに素直に手を出せない、と言う気持ちになる。 伊藤計劃の『虐殺器官』も、一見同じカテゴリーで並べて 4文字にするにはトーンがずれている様に感じる二つの 単語が並んで四字熟語になったようなこの題名、 本屋で目についた瞬間に読みたい!!と思ったのだが、 近頃本の収納スペースに事欠いており、どうしても BLのコミックスが優先されてしまうので、口コミや後追い 評判聞いてからでもいいか、と思ってその時は購入しなかった。 それから空白期間があって、やっぱり頭の隅に 黒に白抜きの文字であの四文字が書かれているだけの 表紙が忘れられなくて、中古本購入時に価格確認して購入。 購入したはいいけど直ぐには読まなかった。 他に読むものがいっぱいあって、積み読文庫のコーナーに 積まれていった。 読書メモはブクログで一括しているので、毎日のように ネット見る時はチェックするのだが、あの時誰かのレビューが 目に入らなかったら、まだもう少し積んでいたかもしれない。 その、どなたかのレビューにはまぎれもなくSF小説である、 と言った事が書かれていて、最近やっとSF=スペースオペラ ではない、と言う事が解ってきていたので(笑)これは 架空の世界構築を綿密に練…

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必死で相棒を探し求めるイル『イル&クラムジー物語』。

大原まり子の『銀河郵便は‘愛’を運ぶ』で、20数年ぶりに この物語にハマっている最中なんだが、イルクラ・シリーズ 2作目は、1作目の『銀河郵便~』のように短編集では ない為、多少の中だるみがあるのかな、と思ったら、 中だるみではなくて、イルとクラムジーが一緒に活躍する 話ではなくて、イルがクラムジーを一生懸命探している 部分が長いので、読者は「早くクラムジーに辿り着けよ!」 と言うじれったさを覚えるから、クラムジー不在を中だるみと 感じてしまうんだろうな(笑) 『銀河~』でもそうだったのが、イルは普段は男性型の アンドロイドで、時にパニクった時に女性型に変化するが、 イルは普段の自分と同じ男性型のクラムジーでも 好きだと思ってしまうのだ。 これがBLと言わずして何と言うか(笑) この辺を、生身の肉体美を中越した存在だからだ、と言う うがった見方で片付けてしまうと、この物語の魅力の 半分もわからなくなる。 20数年前に読んだ時は、若さゆえの潔癖と言うか 融通の効かなさ、細部を読み込む能力が低かったのか、 女型に変わる、と言う条件が気に入らなかったのか、 男型ではなくて、女型のクラムジーにも惹かれているイルに 愛想が尽きたのか、読書歴として殆ど記憶に残ってない。 読んだ記憶がないのは明らかに今の読書傾向と 20代の頃の「読みたい」ものの根拠が違っているから なんだろうけど、そう考えると、よくも処分せずに 手元に残し続けていたよな、と、改めて思った入…

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楽天家びっちなアンドロイドのクラムジーがたまらない『銀河郵便は‘愛’を運ぶ』。

挟んであったしおりが『魔女の宅急便』劇場版割引券付きだったので その日付を見ると1989年、今からおよそ23年前である。 10年くらい前に引っ越しした際に、本の類は思いっきり処分し、 引っ越し先にも持っていくものは厳選して引っ越ししたのだが、 その際に、本を処分する理由項目をいくつか作った。 ①要らないもの ②飽きたもの ③汚損が激しく売れないもの ④どう考えても収納できないので少し惜しいが処分するしかないもの 今現在、古くて手元に残っているものは、これらの項目を かいくぐって現在も手元にある訳だが、更に⑤つ目の項目がある。 読んでどう思ったのかも定かではないが、恐らくこれは JUNEから作品知識を得て購入し、恐らく次に手に入れるのは 難しくなるんじゃないか、と言うものだ。 実はきちんと読んで記憶のあるものほど、処分の対象になる。 読んで面白いかそうでないか、再読する可能性があるかないか、 そう言う事が表紙を見ただけで判断着くからだ。 表紙を見ても粗筋を読んでも一向に読んだ時の記憶が 蘇ってこない作品が一番処分に困るのである。 自分が本屋で購入したからには、読みたいと言う強い動機が あった筈で、本屋でかけられるカバーが外されていると 言う事は、一度は完読しているのだ。 (本屋さんでかけて貰うカバーは、読み終わったと同時に  外して本棚に収納する、と言う儀式みたいなのを頑なに  自分一人で守っている。現在は本屋さんでのカバーかけは  なるべく断る方向…

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読後感想「聖なる黒夜」。

※特に人間関係に於いてのネタバレを多分に含む。 犯人捜査と言うものが主軸となる物語は、決まって終盤は ノンストップで読みたくなるもので、それが丁度休みの前の日に 当たったので、読み切るまで寝なくていい状態で読めた。 読後、私は特に興奮するでもなく、読書で目が疲れて そのまま眠ったのだが、無性に「小説を読みたい」と言う 衝動だけは残っていて、こう言う感覚は「面白いもの」を 読んだ時に必ず抱く感覚だ。 実際、熱に浮かれるようなこともなく、実に冷静に読み切ったと思う。 この作品を読んだ人がかなりこの作品にのめり込んだ状態で、 読後もこの世界観・登場人物への思い入れを引きずるような 感覚に捕らわれると聞いていたので、ある意味で自分が ここまで冷静なのは何故か、と言う気が凄くする。 これは多分、面白い・面白くないと言うのではなく、前日に書いたが、 一般小説の中で男同士の同性愛的要素が色濃い作品を 結構読み慣れている、と言う部分が大きいと思う。 免疫がある、と言うことになるかもしれない。 これがなくて、いきなりこの作品を読んだら、物凄くのめり込んだ筈だ。 「マークスの山」を読んだ時に、なんて凄い小説があるんだ・・・と 速攻、既刊の髙村作品を片っ端から集めまくり、読み耽るような、 そんな時が訪れていたかもしれないが、柴田よしき自体、 実は初読みではなく、女性刑事・緑子シリーズの一作目を確か 読んだ記憶がある作家で、私にとっては「初めて触れる…

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目から鱗のバイセクシャル考察「聖なる黒夜」上巻~下巻。

    ※大部分ネタバレが含まれます。 上巻を読み終えたところで、巻末の「歩道」と言う短編を読んだ。 これを読むまでは、正直、山内練と言う過酷な人生に飲み込まれている 一人の男の姿の輪郭がぼやけたままで、大人しい、学者肌の大学生が 言葉少ないシャイな青年が変貌後ああいう口の聞き方をするのも 唐突過ぎて、何もかもを錬は演じているのではないか、と言う気がして この部分でのどんでん返しを楽しむのか?一体この錬と言う男が 現在の錬に変貌した下りをどれだけの説得力で作者はこの先に 見せてくれるんだろうか、と言う人物でしかなかった。 性根から天邪鬼な人間なので、反発するわけではないが、 人から「絶対面白いよ」と言われると、その私が面白いと思う 根拠はいつ現れるんだ、と言う邪念を持って読んでしまう傾向があるので、 実はどんなに勧められても、ネットで検索して情報を仕入れて、 これは私が好きそうだ、と納得するまで読まなかったりする。 「聖なる黒夜」は、実は私の中では丁度ヨネダコウの 「囀る鳥は羽ばたかない」を読んだ直後で、自分がこの世界観に 近いものに対して飢えて仕方ない心理状態であった、と言うのが 実は一番大きい「読書動機」であり、思いっきり邪であったと言う事。 「囀る」が連載最中であるので、現在読んでいる4話以上の話を 読みたくても「待て」の状態であったと言うこと。 待つのがもどかしく焦れている状態であり、この部分を何か別のもので 埋めたい、と言う欲求が非常に大…

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読んでる最中・・・「聖なる黒夜」上巻。

    ※ネタバレ的部分も多少含んでいます。 強烈お勧めを受けて、一般小説の中のお宝的作品(一般小説の中に眠る 至極BL的でありながらジャンルは『一般書』となっている作品。 これを発見する楽しみの方が勝るので、BL小説を読む必要がなかった) 柴田よしきの「聖なる黒夜」の上巻を読み終えたところ。 読んですぐ、髙村薫の「マークスの山」が浮かんできた。 何もかもが似ている、と言うのではなくて、一つの殺人事件が起きて 物語が動き出す以前からの、登場人物の錯綜感と、警察内部の リアリティ溢れる職務の遂行の仕方や、他の部署との軋轢やしがらみ、 警察と言う特殊な職業だからこその人間関係、そう言う「警察小説」 と言うジャンル的に似ていると言うところと、物語の格となる人物で 自分が招いた所業が全ての根源で自業自得である類の犯罪者ではない、 簡単に言うと巻き込まれ方の切ない人物が出てくるところも酷似している。 「マークスの山」のマークスこと水沢裕之と、この作品では練の 立ち位置が似ているのだ。 水沢は親の無理心中に巻き込まれて、排気ガスを大量に吸ったことで 自分の中に暗い山と明るい山を持つ精神障害を発生させてしまい、 そこから奇行が起り、犯罪を起こしてしまい、犯罪者になる。 まだ最後まで読んでないので、大学院生だった練が、何故女性に襲い掛かり 顔にカッターで傷を負わせるような事件を起こしたのか判明してないが、 練自身はこの犯行を全く覚えておらず、罪を認めたとしても執行猶…

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天使がなぁ~…「暗黒天使メストラール」。

天使ものが好きなんだ、と思っていたが、そうじゃなかった。 これを読んで、それに気がついた次第。 クリフ・マクニッシュの「暗黒天使メストラール」。 タイトルに多大な期待を寄せすぎたかなぁ。 天使が好きなんじゃなく、天使と悪魔セットで描かれる物語が 好きなんだ、と言う事が、これを読んでよ~く解った。 平たく言うと、映画「コンスタンティン」が好きなんである。 人間界では天使も悪魔も人間の似姿をしていて、人間界に入り込み、 天界と地獄との直接対決の大戦争が起こるか起こらないか、 そう言う物語にカタストロフィを感じるんだな、自分は。 ニール・ゲイマンの「グッド・オーメンズ」である。 あれは、面白かったなぁ。 沢山本を読んではきたが、面白くて更に記憶に残るものは 非常に稀なんだと気付いてから、容赦なく古本に売る事を考え始める。 1回読んだらもういい、となる。 読んだ直後は面白くても、一年も経つとあらすじさえ解らなくなるものが 大半の中で、自分が本当に面白いと思ったのは、本を手に取っただけで 粗筋が浮かび、確か好きな場面はここら辺、とページをめくれたりする、 それが本当に手元に置いて置きたい本なのだ。 もう一回、読み直したくなる日が来る本なのだ。 ニール・ゲイマンの「グッド・オーメンズ」は、途中だれるとこもあるのだが (子供連中の話になるとツマラなくなるんだな。  S.キングと違って) 悪魔の子供が生まれてしまって、その子が悪の化身と自覚するのを 人間…

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古典を新しく感じる「神を見た犬」。

作者の名前の発音が私には難しいのだが、 ブッツァーティの短編集「神を見た犬」を読み終わった。 マンシェットの「愚者(あほ)が出てくる、城塞(おしろ)が見える」と 同じ光文社古典新訳文庫で、何となく手に取って購入。 やはり、改めて、欧州諸国での神とはどんな存在で、 キリスト教徒はどんな宗教なのか、理解していた方が より作品を深く理解できるんだろうな、と再確認。 表題の「神を見た犬」は、亡くなった修道士が連れていた犬が、 村に現れ、何をするでもなく、村人の生活の陰に忍び寄り、 不信心な村人たちは、その、神の使いの様な犬に対して、 餌をやったり色々してしまうのを人には知られないように 戦々恐々と日々を過ごしている。 正に、正しい事をする方がカッコ悪いのだ、と言わんばかり。 不信心である方が人間的なのだ、と言わんばかりで、 なんだ、現代人の話じゃないか、と至極納得。 一番恐ろしかったのは「七階」。 階を下りるほど症状が重い病人が入院している病院に 主人公はまず7階に入院するのだが、なんだかんだと 理屈をつけられて、徐々に下の階に部屋を移らざるを得なくなる。 むしろ、ちゃんと症状を説明してくれよ、と言いたくなる。 主人公は、症状を自覚してないから、何故自分がどんどん下の階に 移されるのか、不満で仕方ない。 別に病気に優劣の差はないが、一回でも入院した事が ある人間なら分かるかもしれない、やっぱり症状の軽い方が 良いに決まっているのだ。 5階よりは上だ…

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訳あり過去を持つ研修医「死神を葬れ」。

やっぱり海外小説の方が自分に合ってる。 やたらめったら読むのは止めて、好きな作家の新作を 首を長くして待つ事が多いが、本屋で偶然の出会い、 って言うのも侮れないので、やっぱりネットで本を買うばかりでは こう言う機会は得られないんだなぁ。 ジョシュ・バゼルの「死神を葬れ」も、いつもの本屋に ぶらぶら仕事前に立ち寄って発見した。 本当に何気に目に付いたんだが、表紙絵に惹かれたのも大きい。 白衣、それは何とも言えない神々しさを秘めている 制服の中でも特別視しない訳にいかない服装である。 表紙に、白衣を着た無精髭の青年と、背後に死神が描いてあり、 「ER」好きにはピンとくるものがある。 ただメディカル・スリラーだったら買わなかっただろう。 この表紙での力が絶大だった。 そして裏表紙の解説の中の「疾走抜群の語り口」と言う一文。 これで「買い!」となった。 この小説は非常にネタバレ度が高い。 薬をキメて激務に耐えている研修医の話か、と思って読み始めると 比重が彼の過去へとスライドしていく。 研修医である彼よりも、過去の彼の話の方がヘビーで、 起伏に富み、緊張感も高いのだが、最後にやはり 彼が研修医であることで増す驚愕の場面に遭遇する。 凄い、人間の体の仕組みが解っているとはこういう事か、 と、自分のその部分が疼痛に見舞われるが、 生き残るとはこういう事なのか、と、何とも言えない爽快感を 味わう事が出来るのだ。 表紙絵を見てまずピンと来たのがハーラ…

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新潮社のYonda?くんグッズを今年も貰うぞ!!

啓蒙を目的とした、生きる指針を書いている書籍には とんと興味がわかないのだが (読んでその通りに生きれるくらいなら苦労はしない。  それに千差万別の世の中で、誰にも同じ効果が出るとは限らない、  また、そんな本を読まないとやってけない人は  自分と言うものをちゃんと理解してないから「揺れる」んだと思う。  「ヒントが書いてありますよ~」と言う本より、何かを読んで  何かに気付く自分、と言うものの方が大事だと思う) あまりにもタイトルがタイトルだったんで、 あと、歯医者の待ち時間に眠気と戦いながら読むにはいいな、 手頃な厚みだな、と買ったのが池田清彦著 「他人と深く関わらずに生きるには」だった。 毎年、新潮文庫のマークを送ってYonda?くんグッズを貰っているので、 新潮文庫ってだけで買う気になったのもある(笑) 夏の文庫フェアで2冊分の応募券で貰えるグッズも必ず手に入れているが、 そろそろ対象小説の中に読みたいものが無くなっているのが難点… 各章を読む限り、面白そうなのだが、 読んでまず思ったのが、これを私の周囲の人が読んでない、 と言う事なのだ。 元々、周囲と関わり合いをなるべく持たないように、 会社での付き合いは会社の中だけで、プライベートはきっちり 分けて考えてやってきているので、自分が読む必要はない、 むしろ「職場の仲間じゃないか」と言って、どんなに迷惑を被った 相手にも退職時には「餞別」を渡す人間にこそ読んで欲しいと思うのだ。 …

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泣けてくる映画「容疑者Xの献身」。

年末年始と特番やら映画やら、録画しても見る時間がなく、 ようやく三が日の福袋商戦を終えて、見にかかる。 ドラマを見る癖が抜けてしまって、深夜の海外ドラマしか 見なくなったのだが、再放送の「ガリレオ」が面白くて、 今更「見とけばよかったなぁ」なんて思っている時に 「容疑者Xの献身」の放送、まあ、再放送はこれを見せる為の 前振りなんだろうけど、録画しといて良かった。 東野圭吾、読んだ事はない… まあ、日本の作家の小説をあまり読まない性質なので 仕方ないが、この映画を見て読みたくなってしまった… 湯川教授の福山雅治は結構期待を裏切らないキャスティング なのではないだろうか、原作知らんけど。 天才的物理教授VS天才数学者、って対立だけで 私の萌え琴線には触れるのだが、いやぁ、予想外に面白かった!! 堤 真一が…良かったよ… 押さえた感じが非常にストイックで。 誰の献身か、原作を読んでない私には皆目分からず映画を いきなり見た訳だが、不遇の天才の途轍もない孤独感に 圧倒されてしまった。 多少変人ではあるが、研究者として教授職に就き、 自分の才能を如何なく発揮できる場所へ辿り着いた湯川と、 親の都合で大学院に進む道を諦め、高校の数学教師と言う 平凡な道を歩かざるを得なくなった石神との対比。 同じような才能に恵まれながらも、二人の歩み道は こんなにも大きくかけ離れてしまう。 何と言う運命の皮肉だろう。 正直、日本の映画もあまり好きじゃない。 …

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ジャンルにこだわらない職人作家、ジョー・R・ランズデール。

年末に向けて、読書熱が再発。 今年最初にハイスピードで読みまくった反動で、夏から秋に中だるみ、 本は買うが読むのが進まない状態が続いていたが、 ジョー・R・ランズデールの短編集「ババ・ホ・テップ」で 読みたい衝動がモリモリ湧いてくる。 「親心」:親心と言う尊い物を逆手に取ったサイコホラー。      頭の中がサイコな人間にとって物事は常人とは違う意味で      擦り込まれてしまう所の恐ろしさ… 「ヴェイルの訪問」:これはランズデールにハマる事になった            ハップ&レナードものの短編でもあるが…            これが最大の楽しみだったのだが、訳者が違うとこうなるか、            と言う見本でもあった…            ‛世界一頭のキレる黒んぼ’でゲイのレナードが…            ちょっとおネエが入ってる喋り方になっていて、がっかり。            違うと思うけどなぁ。 「ステッピン・アウト、一九六八年の夏」:            これはギャグなのかコメディなのか、            ホラーなのか、何なのか、この短編集で            ランズデールが実に多くの引き出しを            持つ作家であるか象徴している作品。            密造酒で髪をセットしたバディの畳みかけるように            襲いかかる災難。            マッ…

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小説版「トーマの心臓」を読むぞ!!

萩尾望都の「トーマの心臓」を読んだのは、 実は結構成人以降だった。 「ポーの一族」を高校生くらいで読んだかなぁ。 萩尾先生の偉大さに気付いたのは意外と遅かった。 「メッシュ」から好きになったと自覚している。 森 博嗣が「トーマの心臓」を小説化する? 一瞬ピンと来なかった。 まず、森 博嗣の小説を読んだ事がない。 それでも読むか?と悩んだ末、書店で平積みされているのを見て購入。 実は「トーマの心臓」は、未だに自分の中できちんと整理されて 理解しているとは言い難い作品。 漫画も、何度も読み返したんだけど、私の中では 「メッシュ」の方が好みなのだ… 名作だからBESTにしなければならない、と言うのは ちょっと違うと思うし。 多分、成人以降に読んでしまった事が大きいかもしれない。 少年期の揺れ動く危うさ、と言うものに、 酔いしれる事が出来なくなってしまっていた。 「風と木の詩」で、通過してしまった気がする。 「風と木の詩」と同時期の読んでいたら、 また違った印象を持ち続けていると思うのだが。 萩尾作品は私のとってはタイムリーではなく、 少し年上のお姉さんたちが読んでいるもので、 思いっきり後追いで好きになったものだから仕方ない。 後追いで、萩尾作品集を買い集め、その中でとても好きな 小作品「訪問者」がある。 これは「トーマの心臓」の主要登場人物の一人、 オスカーの子供の頃の話だ。 それが冒頭の捧げられており、小説版、購入。 オス…

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読書の秋は過ぎていく…伊集院 静を読む。

食欲の秋は増進中だが、今年は年初めにハイスピードで 本を読みすぎたせいか、読書が全く進まない… 今、初めて伊集院 静の小説「少年譜」を読んでいる。 短編集なので、一区切りし易く、読み易い。 少年譜文藝春秋 伊集院 静 ユーザレビュー:懸命に生きようとする ...作品により出来 不出 ...何と手練れな今まであ ...Amazonアソシエイト by ウェブリブログ 一編目の「笛の音」でぐっと引き込まれる。 出生不詳の捨て子だったノブヒコ少年の流転の人生譚。 聡明なノブヒコ少年は、山奥で炭焼きを生業としている老夫婦に 愛情を注がれて幸せに暮らしているが、 博士に出会い、その聡明さに引かれて養子に貰われていくが、 そこでは実子などの嫌がらせを受ける。 まるで「小公女」の様なノブヒコの運命、しかし彼は決して 悲観することなく、恐らく拾い親であった老夫婦と、 彼が老夫婦の養子となる事に尽力し、彼に学問を教えた 和尚から最初に受けた優しさと厳しさで、 曲がることなく育っていく。 少女は早くに成長し、大人の世界への一歩も少年より早い。 早熟な少女の物語にはあんまり興味がない。 自分自身がそうであったので、改めて読みたいとは思わない。 少年期の、清々しい、それでいてもどかしいような 成長譚は、何故こうも読む心を優しくしていくのか。 こうした文学と、真逆のものを読みたくもなる。 なんの脈絡もない。 読書熱は起きないが、読みたい本は山ほどある。 最近…

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