『東京喰種』にハマった自分に対する考察:2017年11月20日 :re 149話の月山

amazarashi『アノミー』『命にふさわしい』を聴きながら熟読。
月山があそこで叫べたのは本当に凄い事なんだよな。
月山は自覚ないかもしれんが、集団の中にいて、
自分の意見をあんなにしっかり言えるのって、勇気がいる。
月山には当たり前の事で、勇気なんてなくても
やれてしまうんだろうけど。
財閥御曹司がゆえに命令を下す事にも慣れているし、
どこであっても自分の意思で発言するのにも慣れているし。
だけど、現実には、148話の最後で叫べた月山は素晴らしい。
マモの声で脳内再生する!!

こいつ気に食わんわー、とか、許容範囲外で合わない、とか、
個人的に好きじゃないを覆す作家、それが石田スイさん。

このキャラにその科白言わせて
「いい人っぽく見せようとしている」
と言う矛盾や媚びが全く感じられない。
どう言う頭の構造してたら、ああいう風に表現できるのか…
唸るしかない。

月山が「彼に 幸せになって欲しいのは…」と言わしめる前の
カネキくんの心の中を歌っている様に聴こえる『アノミー』
これほどまでに「人」を想う彼の叫びに聞こえる。

喰種の中で、月山は恵まれている。
人間社会に貢献する企業の御曹司。
こそこそ隠れなくても、人間社会と共存していた。
恵まれている事を当たり前とし、恵まれない者を蔑む事もなく、
それでも恵まれている自覚はあるし、隠す事もない。
恵まれた境遇と、父親の観母に愛されて育ったことで、
彼は「変わり者」で「ナルシスト」ではあるが、彼の中には
「悪意」が育たなかった。
「美食家」気取りは、思春期のこじらせちゃった感がああいう形で
表出したと思われる。
が、現在のカネキくんの有り様を見て、呆然とし、愕然となり、
哀しく想う事はそれぞれあるだろうが、読書も出来ない、
好きな珈琲も飲めない、友と会話する事も、好きな人間と
触れ合う事も出来ない
と思い至ったのは月山だけだった。

彼はあんなふうだが人一倍「共感力」を発揮している。
それはカネキくんに執着があるから特別に発揮された物かも
しれないが、ユウマが捕らえられた時も単純にアリザの
笑顔を取り戻してあげたいだけだ、と言っていた。
親しい人間にさえ、本心からの共感力を持てない、
口先だけの人間は大勢いる。
月山はあんな風なので誤解されやすいが、人一倍「共感力」
優れているからこそ、月山家に仕える者たちに愛されていたのだ。
単にお坊ちゃまを立てるではなく。

スイさんの描く笑い泣きの破壊力。
アキラに寂しいと言った時のカネキくんの泣き笑い。

科白と表情に温度差がある漫画家は多い。
表情の描き分けが出来てない、と言ってしまえばそれまでだが、
その作家の持つ「表情のバリエーションが少ない」と言う事なのだが、
バリエが少ない事は画力に比例しない。
画力に長けていても表情の持ち球が少ない為に、科白との
違和感を持ってしまう。
表情が追い付いてない、と読者が感じる様な…
漫画を読み慣れていると、その温度差に関わりなく物語を読む
スキルを読者の方が持っていて、支障なく作品を楽しめる。

スイさんは、科白と表情の間にある感情までも描いてしまう
稀有な漫画家
だと思う。
決め科白の時の「決め絵」を外さない。
149話の月山の表情を見た時に、今まで外した事ないな、この人…
とやっと気付いた次第。
仲間に対する失望、カネキくんの今の姿への哀しみ、寂しさ、
それでもかすかな希望を込めて口にした言葉と、この表情の間に
全くズレがない。
向かって左側の口角が引きつったように見える様や、左右の
眼の開きが微妙に違っている部分など、この表情に作者の
「月山習」と言う登場人物への気持ちが籠っている。

BL作家の中で表情のバリエが圧倒的に多く、画力もパネェのは
雲田はるこさんだ。
単に絵が上手いのではなく、登場人物が浮かべるであろう表情を
描き分けている。
写し取るセンスが凄いと言うか…
漫画は表情のバリエが少なくても「物語の力」や「的確な記号(表情)の
使い方」で成り立つので、必ずしも「表情バリエが多い」「画力が高い」
と言うスキルが低くても成り立つし、そこに「漫画作品」としての
面白さは左右されない場合も多い。
記号だけで読ませてしまう西田東さんやARUKUさんは圧倒的に
物語構成力が高い。

漫画の描き方の手法は多岐に渡るが「画力が残念」過ぎて
話は面白いのに…と言う事もある。
が、149話の月山のあの表情で、スイさんが漫画家として
物凄い情熱をもって絵を描いている人だ、と改めて実感した。

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