何故知らなかったのか・・・「青春♂ソバット」。

こんなに読んでいるのに、まだ知らない、
気付いてない作家さんがいる・・・
黒娜さかきもその一人で、Twitter情報も大きいのだが、
Amazonや、登録している書店の新刊情報などで、ハッと目に止まる作家さんがいる。
一つの作品を検索すると、似たような作風やお勧め作品が表示されるが、
それで「表紙」絵を見て気になって仕方なく、その作品のレビューなんかを読んで
「ピン」と来る時がある。
思えば岡田屋鉄蔵「タンゴの男」も、井上佐藤「子連れオオカミ」も、
Amazonのページを開いた時に「類似作品」「その作品を買った人が他に買っているもの」と
表示された本の表紙絵からだった。

やはり男同士の恋愛物を10代の頃から摂取しているだけあって、恐らくその手の
ものを感じる「勘」と言うやつは間違いなく私の中に備わっていると思う。
具体的にどう言うものかと、理路整然と述べられないので「勘」なわけだが、
黒娜さかきも「トラの初恋」の表紙と、内容紹介を読んで気に掛かり、
既刊コミックスを買ってしまった完全な後追い作家さん。
「青春♂ソバット」全4巻、これは間違いなく、自分が一番好きな部類のお話。

実は学生ものと言うか、高校生同士とか中学生同士とか、とにかく、
成人していない「学生同士」のBLがあまり好きじゃない。
学園ものも好きじゃない。
10代の人間が恋愛する場合に生じる、経験のなさと人間として発展途上中で
あることから「きらめいていられるのはこの瞬間だけ」みたいな
甘酸っぱさが本能的に苦手だ。
大人の未熟な部分は時に人間的魅力となるが、単に未熟なのは好みじゃない。
なので、十代同士、学生もの、と言うジャンルと分かると手を出さない傾向に
あるのだが、この作品は十代やら学生やら云々はページを開いた
瞬間に吹き飛んだ。

元々は女子高だった学校が共学になり、クラスに男子は4名。
この図式で逆にBLを描くのは難しいんじゃないか、普通に考えて
4人は女子選びたい放題・選ばれたい放題のパラダイスじゃ・・・と
考えてしまうのが甘かった。
ほぼ女子の中でたった数人しかいない男子同士の関係性が逆に濃くなる、
と言う発想、そう言う捉え方もある、とまず驚き、そして、
何故かたった4人の内の友人でしかない筈の白洲に廊下でキスされてしまい、
こんなに女子が沢山いるのに初キッスが同性とは・・・と嘆く有田、
ここからの展開は、少しずつ予想をことごとく裏切られる、と言う感覚。
仕組まれた大掛かりな仕掛けではないのに予定調和を裏切る感じ、
思っていた方へ話が進まない、と言うストレスにも似た引っ掛かり、
これが最後まで感じられる作品だった。
ストレスと言ってしまったが、後ろ向きな意味ではなく、自分の中で
勝手に作られてしまっている、BLだったらこんな感じか、と
予想を立てて読む姿勢をことごとく裏切ってくれる、と言う意味合いにおいて。

童貞ノンケ×びっち入ったドSゲイ、って図式でもう大好物なんだが、
更に一目惚れしてしまったのが白洲の外見である。
サラッとした黒髪に黒縁の眼鏡、眼鏡を外すと切れ長の涼しい目元、
そしてゲイなのに女子に好かれてしまう見目の良さ。
あー、誰かに似てる、と、まるで生きている人を見る時に抱くような
感覚を持ってしまって、同じ眼鏡だけでなく、松本大洋
「ピンポン」のスマイルこと月本誠に似ているんだ、と気づいた。
ゲイ云々は全く抜きで、絵柄のせいかもしれないが、
なんか、まだ若い身で斜めに世界を見ているように見えて、
心のそこには年齢に比例して純な部分を持ち、
だからこそ不器用さが逆に大人びて見える、と言うか。

眼鏡男子好きにはタマランと聴いていた通り、この白洲は一人で十分
BL的要素を持ち得ており、あまりに自分の好きなキャラだったので
初読み後、相方の有田の名前も見た目も頭に入らなかった。
で、現在再読中なのだが、時間がなくて先にラストの、
大人になった二人の下りを先に読んでしまって、有田の男前ぶりに
もう一回最初から一気に4冊読みたくなってしまった。

紆余曲折部分は、再読した後に色々考えるだろうけど、
今の段階で、この二人がなんだかんだ、学校を卒業した後、
大人になっても関係が続いてる、この結果がとても愛しく思えて
やっぱりちゃんと腰据えて一気に4冊読み通したい衝動に駆られてしまう。
今、この瞬間に感じたままを書きたくなってしまった。

大人になってからも続いている二人だが、白洲は誕生日のプレゼントとして
有田にプロの女の子をプレゼントしようとする。
白洲はずっと、有田をこっち側へ引き込んでしまった負い目を
感じているのだろうか。
自分と関わりにならなければ、有田はもともとの素質のままに
女子と恋愛して結婚して、ノーマルな人生を送っていたかもしれない、
全ては白洲と出会った為に、と。
それとも、元々年上好みだった白洲にとっては、好みの範疇外の
友人が恋人になってしまった有田を、自分が好きだとしても、
相手の好きな気持ちをずっと信用できないでいるんだろうか。
実は父親だった男に恋愛感情を抱いてゲイであることを自覚したような
白洲にとって、自分はそうだけど有田は違うんだ、と
疑ってばかりなんだろうか。
自分の気持ちも疑い、有田の気持ちも疑っているんだろうか。

白洲はあんな風だが、本質は好きな相手に何かしてあげたいと努力するような
可愛い面を持っている男なので、有田に申し訳ない、だったら
何かしてあげたい、有田は元々ノンケだから、自分に遠慮せずに
本来の欲求にしたがって異性を抱いて貰いたい、なんて、
思ったんだろうか。
ラストは色々と深読みが出来る。
有田は白洲と付き合うことで真っ直ぐばかりではなく変化球を覚えて、
もし女子とするなら白洲を交えて3Pだ、などと切り返せるようになっている。
そして、白洲が誕生日に異性を抱け、などという気遣いを見せたことに対し、
きっぱりと拒否し、かと言って、大人気なくそんな
「俺が好きなら他の誰かと寝ていいなんて言うな」
などと言う罵声を浴びせることなく、むしろ
「そう言う手に出るか」と切り返している。
白洲が有田に対して抱いている心の負担、ゲイでもないのにずっと
付き合わせている事実に対して、有田が異性を抱いてくれたら
少し心の負担が減る、と言う風に考えているだろう部分を
逆手にとって「そう言う方法で楽をさせてあげない」と言っているのだ。

高校時代の彼らから話を読んでいるわけで、この最後の二人の姿を見て
有田、いい男に育っているよなぁ、白洲は先物買いしたんだよ、と思う。
白洲の影響を多少受けているかもしれないが、短絡的で直感的、
ねじったものの見方が出来ない、いわばいい意味での「無知」さが
有田のいいとこだったんだが、白洲と深く付き合うことで
心が鍛えられ、あの白洲相手に、白洲を黙らせることが
できるようになってるなんて・・・と、感慨深さを覚える。

白洲はもともと繊細で天邪鬼な性格だ。
その部分があるからこそ、一見、有田の為、と言うお題目を掲げて
実は自分がとことんまでは傷つきたくない、と言う思いがあるのかもしれない。
有田が自分に呆れればいいのに、と、有田の方から離れていくように、
ノンケなんだから、元々は友人だったんだから、と以前から百も承知の
理由やらなんやらを持ち出して、簡単に自分が納得できるように
仕向けようとしている。
有田が白洲との関係を続けていけないと思った時に
保険を掛けておきたいのかも知れない。
高校時代の、ドSな性格の白洲にしては歯切れが悪いように思えるが、
逆に「完全な手遅れになってしまう前に有田を解放させてあげたい」
と考える白洲の優しさが現れている気がする。
後ろめたさから、白洲は有田がいつでも自分とは違う場所へ戻れるよう、
道を空けておいたままにしておきたいのかもしれない。

それを「勘違いの優しさだ、勝手にこっちの気持ちを考えるな」
と言う具合に目くじらを立てないのが有田なのだ。
それを有田はまるっきり見抜いている。
白洲に逃げ道を与えない、かと言って白洲が苦しくなるほど
締め上げたりはしない。
すかしたり交わしたりするように、白洲のことを受け止めている。
この有田を見てしまうと、これまでの二人の姿をまた思い出したくなり、
やっぱり1巻から4巻まで、一気に読みたいと思ってしまう・・・
       ※敬称略

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この記事へのコメント

堀河
2012年02月01日 13:54
読みたくて読みたくてブルブルしてきました。ザジさんのブログは衝動買いを誘います。ぶるぶる……。
ざじ
2012年02月02日 23:23
ぜひぜひお読みください!!最近読んだ物の中ではピカイチでした!!とにかく、白洲に触れて欲しいです(#^.^#)

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